高温環境でのグリース潤滑
周辺環境からの熱や摩擦熱などの影響を受ける高温下のグリース潤滑では、主に次の課題があります。
1.グリースの軟化・流出
2.基油の粘度低下・蒸発による油膜破断(摩耗・焼付き)
3.グリースの固化・酸化劣化
一般的なリチウム石けんを増ちょう剤とするグリースは130℃付近がグリースの実用上の半固体状特性(摩擦面への付着性やシール性)を維持する耐熱限界となります。従って、それ以上の高温下では耐熱性の高い増ちょう剤を用いたグリース(リチウムコンプレックスグリース)が適しています。またフッ素オイルをベースとしたフッ素グリースも化学的安定性に大変優れるため、高温環境下には最適で長寿命です。
低温環境でのグリース潤滑
低温下ではグリース基油の粘度増加により、主に次のような問題が発生します。
1.トルク(せん断応力)の上昇による起動不良
2.基油の摩擦面への供給不足による摩耗・焼付き
一般的なグリースの基油流動点は−20℃前後で、低温下では粘度が大きく上昇します。従って、上記問題が発生する低温下では、粘度-温度安定性に優れ、流動点が低い合成油をベースとしたグリースが有効です。また特に低トルク性が要求される軸受にも最適です。